愛着障害 〜子ども時代を引きずる人々 / 岡田尊司 を読みました。
- 作者: 岡田尊司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/09/16
- メディア: 新書
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もっぱら自分が自覚している通り、愛着障害をもった人間の立場から、それを打開するヒントを探すために手に取った本。
文体が流れるように読みやすくて、文章うまい人なんだなーと思った。これが知性か。
別の本読んでても特に思わなかったけど、下手な文章は読む気にさせにくいんだな~と、最初は余計な事を考えていた。
どんな内容?
「愛着障害」ていうのは、ざっくり言うと養育者…両親、特に母親からの育てられ方による心の傷。
コレが、恋人やパートナーをはじめいろんな人とのコミュニケーションはもちろん、仕事上の成功不成功や、生涯の健康にまで影響する。というお話だった。
遺伝とかDNAとかの先天的な要因に匹敵する、あるいはそれを凌駕するレベルで、その人の人生の根幹に関わる要素だと。
ジョブズから川端康成まで、偉人と呼ばれる人の多くは、その幼少期の生い立ちから包括的に分析するに、それぞれが愛着障害と呼べるものを抱えてきた、とも。
愛着障害が生まれる原理から、自分でできる愛着パターン分析の方法、それぞれの特性。そしてそれらの克服に向けた道筋までが書かれていました。
構成としては、過去の偉人を例にあげて、色々な愛着障害のパターンを考察しているのも面白かったんだけど、若干その分量が多すぎたので、その分を最後の方の、じゃあどう克服するか?という所の具体的な方法論にまでつっこんでほしかったな。
自己分析してみた。
その結果、というか本文を読んでいればすぐにピンときたけど、自分は「愛着不安型」に分類された。
「愛着回避型」の傾向も大きかったけど、不安型の数値のほどではない。
自分は不安型だという認識から読み進めると、その特性について書かれた記述は、短い言葉のうちにハっ!とするほど的確で明確な指摘がなされていた。
そう、まさにそれ!なんで分かったの!?なんて。
こういった苦しいものを抱えることは、学術的な面から理解されるほど普遍的なことなのだな。
愛着障害を克服するには?
こういった躓きを治療していくのに、従来の精神科医などによる心理療法やカウンセリングは、効果が得にくいばかりか悪化を招く。としているのが新鮮かつすごく納得した。
そりゃ確かに、やっとの思いで吐露した生の気持ちを、理論の冷たいナイフで切り刻まれたら、ガッカリするし傷つくよね…。
でも相手もお仕事だし…という葛藤。
そういうところから、一人の心理学者・エリクソン氏を例にとって、これまで精神治療においてタブーとされてきたことをガンガンやっていたら、結果的には患者さんの愛着障害の克服に繋がった。というお話。(ざっくりですみません…)
その流れから、著者は、やっぱり身近な人と手を取り合って、相互に傷を癒していく関係が作れたなら素敵。というお話に入っていく。
養育者との関係性からの心的外傷(という言葉が正しいのか分からないけど)について、その背景や傾向については、自分もある程度これまでの人生で認識してきたので、克服についての章が、この本の中で一番面白かった。
具体的にどういうことが書かれているかは、ぜひお手に取って読んでみてほしいです。面白いから。
自分は、この本から得たヒントをもとに
- 自分のことを話すことに慣れる
- ブログを書いていく。
- 否定的な言葉は極力排する。
といったことは今後さらに意識的にしていけたらと思う。
それ以外にも、いろいろと思いついたことがあるので、順次模索していこうと思う。